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2017年01月10日

一時話題になった誤訳問題についての枝葉末節ツッコミ

この歳になって学生時代の参考書を引っ張り出し、英語を勉強しています。
英語学習の肝は、一から丁寧に積み上げる…のではなくとにかく何周も「回す」ことだと思いますが、趣味的に勉強しているのでどうしても寄り道ばかりしてノロノロ進む効率の悪い方法となってしまいます。

さて、オバマ大統領の任期が僅かとなった今更とはなりますが、大統領就任演説について日本の有力紙が誤訳したというトピックが有りました。


オバマ大統領就任演説の一部 20130121
For the American people can no more meet the demands of today’s world by acting alone than American soldiers could have met the forces of fascism or communism with muskets and militias.

読売新聞の誤訳 20130123
かつての米兵は、小銃を携え、民兵とともにファシズムや共産主義に立ち向かうことが出来た。だが米国民はもはや、単独で行動していては、今日の世界の要求に応えることはできない。

読売新聞訂正記事による訳 20130124
かつての米兵が、小銃を携え、民兵とともにファシズムや共産主義に立ち向かうことが出来なかったように、米国民はもはや、単独で行動していては、今日の世界の要求に応えることはできない。

朝日新聞電子版の訳 20130123
米国人だけで今日の世界の求めに応えることはできないのは、銃と民兵でファシズムや共産主義と対峙できなかったことと同じです。


これはかつての受験英語では定番とされたno more A than B、「鯨の構文」というものですね。
A whale is no more a fish than a horse is.
確かにこの例文自体は不自然さを感じるものでもあり、このような日本の受験英語特有の古めかしい言い回しを覚えてもネイティブの英文には出てこないとよく揶揄されたものです。それがこのように実際の用例として大々的に表に出てきたのでその受験英語批判ひいてはCommunicative Approach礼賛も的外れかと一時話題になったのです。確かに気楽な会話文ではこんな構文が出てくることは有りませんが、格調高い文章、文学的な文章の中では時折見かけることがあるので、一度学習しておいたことは無駄ではなかったと思います。

さて、この構文の構成としてthan以下は有り得ないことを強調する部分であり、この場合はライフリングも無くどこへ弾が飛んでいくかもしれないmusketsやろくに訓練もされていないmilitiasによってファシズムやコミュニズムという巨大な敵に立ち向かうことの有り得無さを強調しています。そしてそれと同じくらい米国民の孤立が非現実的だと言っているのです。

現代的なアサルトライフルではなくmuskets、現代的によく訓練されたエリート部隊ではなくmilitiasと強調しているのだから、musketsは単なる銃や小銃ではなくマスケット銃、militiasは米兵ではなく義勇兵や民兵と訳すべきでしょう。

またこの部分では、米国の孤立主義についてだけではなく同時に国民の団結の重要性を説いている部分なので、その点でも両新聞の訳には満足出来ません。

それから、翻訳の問題とは別に、では現代的な装備と非常に専門的な訓練を受けている現代の特殊部隊や空母打撃群であれば、本当に巨大な敵にも打ち勝てると言えるのかという疑問が残る演説内容ではあります。


cf.
オバマ米大統領就任演説で誤訳 | GoHoo

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posted by KIDA Taira at 10:11 | 大阪 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | society | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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