「シェーン」著作権は消滅・最高裁 NIKKEI NET
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20071219AT1G1803318122007.html
「ローマの休日」と並んで、その経過が注目されていた、映画「シェーン」DVDに関する訴訟で、上告審判決が出ました。1、2審判決を支持、上告棄却です。
著作権法は2004年1月1日施行の改正から、映画の著作物の保護期間が公開後50年から70年へと延長されました。
問題となっていたのは1953年に(団体名義で)公開された映画です。件の改正前だと保護期間は50年ですから、2003年12月31日の終了をもって著作権は消滅するとも考えられますが、文化庁は、12月31日の終わりと1月1日の始まりは連続しているとの見解から、1月1日施行の改正法によって保護期間が70年に延長されたとし、原告映画会社も文化庁の見解を基にした主張を展開していました。
これには、ちょっと苦しい論理だという指摘も多々ありましたし、私もそう考えますが、どちらにしても、このような単純な条文の適用に関する、いわば手続き的な問題で最高裁まで争われるというのは、これは立法の過誤といってもよいのではないかと思っています。
因みに、旧法では公表後の年数のほかに著作者の死後38年という保護期間があることにも留意する必要があります。
それから、これは今回の法解釈には影響しませんが、提訴された時点で原告側から「シェーン」のDVDは発売されていなかったそうです。つまり、現に販売している商品の売り上げに影響するということではなく、見えざる財産権が侵害されたということですね。
判決文はPDFで読めます。
↓
平成18(ワ)2908 著作権侵害差止等請求事件 平成18年10月06日 東京地方裁判所
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=33621&hanreiKbn=06
平成18(ネ)10078 著作権侵害差止等請求控訴事件 平成19年03月29日 知的財産高等裁判所
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=07&hanreiNo=34454&hanreiKbn=06
平成19(受)1105 著作権侵害差止等請求事件 平成19年12月18日 最高裁判所第三小法廷
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=07&hanreiNo=35509&hanreiKbn=06
余談ですが、つい先日のニュースとしてこんな記事へのリンクもありました。
↓
映画の著作権侵害、北朝鮮側の請求棄却・東京地裁
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20071214AT1G1402T14122007.html
こちらは、ほぼ門前払いといった形ですね。